fc2ブログ
2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】
今日は1月号に掲載された記事をお届けします*


《ネパールの民族と言葉》
ネパールは36の民族が共存する国と言われている。
肌の色が濃く目がぎょろっとしたインド系の人
わたしたち日本人とさほど変わらない顔立ちのチベット系の人
肌が白くギリシャ彫刻のようなホリの深い顔立ちの人もいる。

わたしが住んでいたナガルコットは人口の8割近くが“タマン”
タマンとはチベット系の民族名で、カーストでもあり、そして苗字でもあるのだ。
そんなわけでお向かいさんもご近所さんもほとんどがタマンさんだった。
そして彼らはタマン語という独自の言葉を話す。

民族ごとにルーツや文化・宗教・言語までもが異なるため
ネパールでは家族・親戚はもちろんのこと同族意識がとても強い。
首都カトマンズではインターカースト婚(異カースト間の結婚)も少しずつ増えてきているらしいが
村では親の決めた同カーストの相手との結婚がまだまだ主流だ。

日本人からすると同族意識と聞いてもなかなかピンとこないと思うが
海外で生活する日本人同士が集まって日本食を食べながら日本語でのコミュニケーションを楽しむのと
少し似た感覚だろう。

ちなみに登山ガイドや山でポーターなどの役割をこなすことで知られている“シェルパ”
実はシェルパというのも民族名で、カーストで、苗字で、そしてシェルパ語を話す。
標高の高い山岳地帯にシェルパ族の割合が多いため、いつしか民族名がそのまま職業名として定着したというだけで
銀行員や学校の先生をしているシェルパさんだって存在するのだ。

ネパール語はヒンディー語によく似ているけれど
タマン語はチベットがルーツなのでネパール語とは似ても似つかない全くの別言語だ。
ネパール語で『カトマンズ マ ジャネ』(カトマンズに行きます)
がタマン語になると『ヤンブー リ ニラバ』と地名の呼び方までガラッと変わってしまうもんだから
ネパール語+タマン語を覚えるのは容易ではなかったけれど
赤ちゃんと同じように周りの人たちが話している言葉を聞いて真似しながら
言葉を少しずつ習得していくのはとても面白く
わたしがネパールでタマンと会話する時は、挨拶や簡単なやりとりはタマン語で
ちょっとした会話はネパール語で、もっと詳しい話は英語で
とわたしの言語レベルに合わせて3種類の言葉をミックスしていた。

ナガルコットのタマンはネパール語も話せるのでタマン語を覚えなくても暮らしていけるけれど
皆自分の民族に誇りを持っているので、ちょっとしたやりとりだけでもタマン語を話せる方が
人間関係がなにかとスムーズにいくのだった。
わたしがたまにタマン語の唄を歌うと、村の人たちはいつも大喜びで踊ってくれた。

そんなわたしもネパールから帰国してもうすぐ2年。
タマン語は一切使わなくなり、脳みその奥深くで眠っていたのだが
先日クリスタルを買いに息子を連れて石屋さんに行ったら
お店のおっちゃんの胸にタマンと書いてある名札が付いていたので
ひさしぶりに片言のタマン語で話しかけてみたら、みるみる目がまん丸くなって
頼んでもいないのにクリスタルをびっくりするほど安くしてくれた。
“あなたたちはファミリーだからね”って。

超マイナー言語のタマン語がまさか日本でこんな形で役にたつとはね。
タマンのおっちゃんありがとう。
スポンサーサイト



2017.01.26 Thu l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://aikoyoshikawa.blog.fc2.com/tb.php/489-774e036a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)