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2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】

7月号でちょうど丸3年という節目を迎え
今号をもって最終回とさせていただくことにしました。

今日はチャロでの最後の記事をお届けします*

《イロトリドリの曼荼羅》
2014年から3年間にわたり現地在住生活便りネパール編を書かせていただいていましたが
今号で最終回とさせていただくことにしました。

わたしにとって文章を書くというのは
胸の内の思いを日本語というツールを使って表現することなので
頭を使うというよりは勝手にどんどん湧きあがってくるという感覚に近い。

けれどネパールを去って2年が過ぎた頃
インプット(経験)が増えないのにアウトプット(執筆)することに
ものすごい頭とエネルギーを使うようになっていた。

ネパールでの様々な経験は、ゆっくりと消化されわたしの一部となった。
改めて思い起こそうとすると、まるで他人事のようにすら感じる時がある。
そのことに気がついた時、これはもう手放すタイミングなのだと思った。

以前のわたしなら頭をひねりながらもコラムを書き続けようとしたかもしれないけれど
“今できることをできるだけ”という
無理に執着しないマインドはネパール人から教わった。

ネパールでの楽しかった思い出も苦い記憶も全て糧となり
たくさんの色を含んだわたしが存在している。
この世にいるひとりひとりが皆それぞれオンリーワンの色を持っていて
ご縁があれば出会い、互いに影響し合い
それによって変化し続ける世界はまるでイロトリドリな曼荼羅みたい。

息子が大きくなったら、いつか一緒にネパールとインドを訪れたい。
わたしたちのイロトリドリな旅はまだまだ続く。

連載の機会をくださったチャロ編集長の新舎さん
いつもコラムを読んでくださった読者の皆さん
またどこかでお会いできることを楽しみにしています。

3年間ありがとうございました。
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2017.07.01 Sat l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】
今日は5月号に掲載された記事をお届けします*

《妄想と瞑想》
ネパールから日本に戻ってきてよく感じることのひとつは、
日本人は不安を抱えながら生きている心配性の人が本当に多いなぁということ。

それじゃあ私自身不安に感じることが全くないかと言うともちろんそんなことはないのだけど
ネパールではお金がなくて家に屋根がつけられない人も
バイクの事故で片足を失ってしまった人もケラケラ笑って鼻唄歌って踊って暮らしていて
“ない”にフォーカスしだしたらキリがない、
それより足るを知ることが幸せなのだと教わった。

わたしにとって幸せの価値観が大きく変化した出来事がある。
初めてインドを旅した10年前、ダラムサラでのヴィパッサナー瞑想との出会いだった。
ヴィパッサナー瞑想とはインドの最も古い瞑想法の一つで
ヴィパッサナーという言葉は“ものごとをありのままに見る”という意味をもつ。
瞑想法には数多くの流派があるけれど、ヴィパッサナーはその中でも特に厳しい。
インドだけでなく、ネパール・日本(京都・千葉)世界各地にヴィパッサナー瞑想センターがある。

ヴィパッサナー瞑想センターでは10日間の瞑想コースに参加することができる。
その間、動物性の食品・酒・タバコ、人と会話・目を合わせること・触れること、
施設内からの外出、テレビ、電話、インターネット、文字の読み書き、
趣味全般(音楽を聴くこと・スポーツ・写真撮影・楽器等)
これら全ての行動が10日間禁止されるのだ。
そして4:00起き21:30就寝という規則正しい生活を送り、毎日12時間瞑想をする。

これらの修行料・宿泊料・食費は寄付でまかなわれているので、一切請求されないというのも驚きだった。
すべての経費は、コースを終了しヴィパッサナーから恩恵を受けた人たちの
“他の人たちにもこの機会が与えられるように”との思いから行う寄付によってまかなわれている。
瞑想の指導者も運営・調理のメンバーも何ら報酬を受け取らずボランティアスタッフとして参加しているのだ。

私の場合、コース参加後最初の数日間は瞑想どころじゃなく、妄想に苦しんだ。
穏やかに座っていたいのに、過去の思い出や未来の想像が絶え間なく押し寄せてくるのだった。
思考を止めようと思っても、他に気をそらすもの(人との会話・携帯など)
が何もないとさまざまな思いが勝手にむくむくと湧き上がる。
頭の中というのはなんて忙しいのだろうと初めて気がついた。
そして体の動きを止めて座っていることができても
頭の中の動きを止めることはなんと難しいのだろうと痛感した。

あちこち彷徨っている思考に気がついたら
そのたびに自分の呼吸に意識を向け“今とここ”にフォーカスを戻すの繰り返し。

まさに思考の大デトックスだった。
後半になるとようやく思考を止められるようになってきた。
今までに体験したことのない穏やかで安心感に包まれた世界で
自我も時間も重さも何もない、まるで粒子になったような感覚だった。

そしてヴィパッサナー瞑想を経験したあとのわたしは
10日間の自己観察を通して余分な思考が削ぎ落とされてちょっぴりシンプルになり
以来ネガティブな妄想をほとんどしなくなっていた。

将来のことを考えると不安…
老後のことを想像すると不安…
ちゃんと子育てできるか不安…
転職してもいい仕事が見つかるか不安…
チャレンジしたい気持ちはあるけれど失敗しないか不安…
今日あの人にあんなこと言っちゃったけど気を悪くしていないか不安…

その不安、全て妄想ですよ。
それよりまずやってみよう。
それも不安を取り除きたいという思考ベースのアクションじゃなくて、心の底からワクワクすることをね♪
2017.05.01 Mon l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】
今日は3月号に掲載された記事をお届けします*

《ネパールの美の基準》
ネパール人に言われた褒め言葉で今でも忘れられない一言がある。

それはカトマンズにある車の保険会社を数ヶ月ぶりに訪れた時のことだ。
受付のお姉さんにナマステーと挨拶をしたら、わたしのことを覚えてくれていたみたいで
『あらー!あなた少し見ないうちに太ったわね!顔も大きくなってキレイになったわよ♡』
と満面の笑みで言われた。

太った+顔が大きいのダブルパンチを不意打ちでくらって
まだ産まれたばかりの息子を抱いたまま大笑いしてしまった。

ネパールの女性の美しさの基準は
白い肌・ぽっちゃり体型・大きな目・長い髪だ。
なのでネパールで『太ったね』は最高の褒め言葉。

ネパールではふくよかであることは富と健康の象徴で、
逆に痩せていることは貧しくて不健康というマイナスイメージにつながるらしい。
ひさしぶりに会う人に『太ったね』と言うと、老若男女問わず喜ばれる。
(明らかに太りすぎている人やカトマンズの若い女の子に対しては別だけど)

女性は年齢にかかわらず皆髪が長く
ショートヘアのネパールの女性にわたしは一度も会ったことがない。
そんなわけで刈り上げツーブロックだった頃のわたしの髪型は
ネパールではとにかく大不評だった。

そしてネパールの女性はとにかくアイラインが大好き。
アイラインのことをネパール語で“カジャル”と呼ぶのだが
驚くほど太くひいている女性が多い。

カジャルは単に目を大きく見せるためのものだと思っていたが
実はアーユルヴェーダ療法のひとつでもある。
手作りのカジャルはマスタードオイル・カルダモン・フェヌグリークなどから
作られていて目の粘膜を保護し目の病気を防ぐ効果もある。
なのでネパールではアイラインくっきりの赤ちゃんに遭遇することも多い。

ある日、義妹が家に遊びにきて息子にネパール式オイルマッサージとカジャルを施してくれた。
赤ちゃんの場合は目の周りだけじゃなく
魔除けの意味を込めてこめかみにもカジャルを付ける習慣があるのだけど
それにしてもこれはひどい(笑)
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2017.03.01 Wed l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】
今日は1月号に掲載された記事をお届けします*


《ネパールの民族と言葉》
ネパールは36の民族が共存する国と言われている。
肌の色が濃く目がぎょろっとしたインド系の人
わたしたち日本人とさほど変わらない顔立ちのチベット系の人
肌が白くギリシャ彫刻のようなホリの深い顔立ちの人もいる。

わたしが住んでいたナガルコットは人口の8割近くが“タマン”
タマンとはチベット系の民族名で、カーストでもあり、そして苗字でもあるのだ。
そんなわけでお向かいさんもご近所さんもほとんどがタマンさんだった。
そして彼らはタマン語という独自の言葉を話す。

民族ごとにルーツや文化・宗教・言語までもが異なるため
ネパールでは家族・親戚はもちろんのこと同族意識がとても強い。
首都カトマンズではインターカースト婚(異カースト間の結婚)も少しずつ増えてきているらしいが
村では親の決めた同カーストの相手との結婚がまだまだ主流だ。

日本人からすると同族意識と聞いてもなかなかピンとこないと思うが
海外で生活する日本人同士が集まって日本食を食べながら日本語でのコミュニケーションを楽しむのと
少し似た感覚だろう。

ちなみに登山ガイドや山でポーターなどの役割をこなすことで知られている“シェルパ”
実はシェルパというのも民族名で、カーストで、苗字で、そしてシェルパ語を話す。
標高の高い山岳地帯にシェルパ族の割合が多いため、いつしか民族名がそのまま職業名として定着したというだけで
銀行員や学校の先生をしているシェルパさんだって存在するのだ。

ネパール語はヒンディー語によく似ているけれど
タマン語はチベットがルーツなのでネパール語とは似ても似つかない全くの別言語だ。
ネパール語で『カトマンズ マ ジャネ』(カトマンズに行きます)
がタマン語になると『ヤンブー リ ニラバ』と地名の呼び方までガラッと変わってしまうもんだから
ネパール語+タマン語を覚えるのは容易ではなかったけれど
赤ちゃんと同じように周りの人たちが話している言葉を聞いて真似しながら
言葉を少しずつ習得していくのはとても面白く
わたしがネパールでタマンと会話する時は、挨拶や簡単なやりとりはタマン語で
ちょっとした会話はネパール語で、もっと詳しい話は英語で
とわたしの言語レベルに合わせて3種類の言葉をミックスしていた。

ナガルコットのタマンはネパール語も話せるのでタマン語を覚えなくても暮らしていけるけれど
皆自分の民族に誇りを持っているので、ちょっとしたやりとりだけでもタマン語を話せる方が
人間関係がなにかとスムーズにいくのだった。
わたしがたまにタマン語の唄を歌うと、村の人たちはいつも大喜びで踊ってくれた。

そんなわたしもネパールから帰国してもうすぐ2年。
タマン語は一切使わなくなり、脳みその奥深くで眠っていたのだが
先日クリスタルを買いに息子を連れて石屋さんに行ったら
お店のおっちゃんの胸にタマンと書いてある名札が付いていたので
ひさしぶりに片言のタマン語で話しかけてみたら、みるみる目がまん丸くなって
頼んでもいないのにクリスタルをびっくりするほど安くしてくれた。
“あなたたちはファミリーだからね”って。

超マイナー言語のタマン語がまさか日本でこんな形で役にたつとはね。
タマンのおっちゃんありがとう。
2017.01.26 Thu l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2014年より、コラム連載を書かせていただいてるインド初無料日本語情報誌【月刊チャロー】
今日は9月号に掲載された記事をお届けします*


《ネパールの神様と悪魔》
初めてインドを旅した時
人々の暮らしの中にイロトリドリな神様たちがあちこちにいて驚いた。
首から骸骨をたくさんぶら下げたカーリー女神と
その足元で踏みつけられているシヴァ神の絵を初めて目にした時は
その強烈な見た目とキャラクターに度肝を抜かれた。

インドでは神様は生活の一部なので
“あなたの宗教は?”という質問に対して
“わたしは特に何も信じていません”という答えは
“あなたの好きな食べ物は?”という質問に対して
“わたしは特に何も食べません”という答えが返ってくるのと同じくらい
理解が難しいとインド人に言われたのを今でもたまに思い出す。

わたしは特定の神様を信じているわけではないけれど
人々の祈る姿が好き。

ネパールはヒンドゥー教徒人口が全体の約8割を占めるため
インドと同様ヒンドゥー教の神様がたくさんいる。
そのほかにチベット仏教やネパールならではの土着の神様も多数存在する。

ネパールの神様で有名なのは生き神《クマリ》
クマリは血のけがれのない(初潮前)ネワール仏教徒のサキャ族の3~5歳の少女から選ばれ
満月の日産まれであること、さらに32ものきびしい条件を全てクリアしなければならない。
クマリに選ばれた少女は両親のもとを離れ生き神クマリとしてクマリの館に住み
ケガや初潮による出血がみられると次の新しいクマリに交代する。

世界中に神様はたくさんいるけれど
生き神として祀られているのは世界でもネパールのクマリだけなのでは。

クマリは一年に一度インドラジャトラの大祭の時に山車にのって町を巡行する以外は
館から外に出ることはないので
インドラジャトラの期間中はクマリを一目見ようとネパール中から人々がカトマンズに押し寄せる。
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(写真は2014年のインドラジャトラの時に撮影したもの)

神様がいるところには悪魔もいる。
世界遺産・パタンを散策中、満面の笑顔で下半身丸出しの全身骸骨の絵が壁に描かれているを目にして
一旦通り過ぎたけれど思わず引き返してしまった。

彼の名は《カワンチャ》
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カワンチャは十字路に現れては人々に腹痛をもたらすと言われている。
けれど、マントラを唱え供物を捧げれば逆に病魔を追い払ってくれるらしい。
日本でいう妖怪みたいな存在なのかな。

ネパールでも滅多に目にすることのない知る人ぞ知る的存在のカワンチャ。
インパクト大な見た目と“十字路に現れて腹痛をもたらす”というふざけた発想に惚れてしまい
いつの間にかすっかりカワンチャファンになってしまった。

皆さんもネパールを訪れる機会があれば、このレア悪魔・カワンチャをぜひ探してみてくださいね。
そしてくれぐれも十字路にはご用心!?
2016.09.01 Thu l ネパールの生活 l コメント (0) トラックバック (0) l top